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執筆者の写真Wataru Ueda

日々雑記

おそくなりました。


気温が徐々に上がってきました。春を感じます。


ここのところ豚ばら肉角煮に取り組んでいます。


少し長い話になりますが、角煮は私にとってかかわりの深い商品です。前職で店周りをしていたとき、懇意になったお肉屋さんの店長さんから、”今は角煮をやっているところがないから、198/gくらいでやってくれたら売れると思う”と聞いたのがきっかけです。


ハムソーセージの会社でしたが、水煮する設備はありませんでした。しかし、使用したカゴ類や、包装済みの商品を殺菌したりする大きなボイル槽がありました。煮るのは、まぁ、当面これでやれるだろう、と思いました。


工場長と協力して試作を開始しました。ハムソーセージの流れですと、最初にお肉に味付けのためにインジェクションをします。ローストポークなどに使用していた下味用のごく薄味のピックル液を注射し、そのあと、ハムならばスモークハウスでスチームボイルするのですが、角煮の場合は、何度かの試行錯誤のあと、先のボイル槽でボイルしようということになりました。


形の整ったベーコンを作るために使用するリテーナーという金属枠に豚ばら肉をつめてもらい、確か95度のお湯でボイル、だったような気がします。その後、包装工程では専用の定量充填機を導入していただき、当時工場にあった焼き鳥のタレを充填して、先ほどのボイル槽で2時殺菌。これが味付け工程になりました。


多いときには週に5000パック以上東京都内に出荷していましたから、角煮、という商品にしては相当の量のはずです。非常に目立つ商品だったため後追いで大手スーパーが同じような商品を開発、販売を始めたこともありました。


しかし、ハムソーセージ製造で蓄積したノウハウではカバーできない製造特性があり、容量ダウン、値上げ、品質クレーム、廃盤、とフェードアウトしてしまいました。開発、営業、後始末と全てに関わったため、この商品についてはよく知っています。


クレームとしては、やはり”硬い”ということが一番。確か一時加熱で90分以上は加熱していましたし、二次殺菌もしています。なぜか、外側の赤身が際立って硬い。その当時は乾燥、塩分の濃すぎるタレ、煮込み不足のいずれかと考えていましたが、原因の特定にはいたりませんでした。次に、”儲からない”ということ。工場では、歩留まりが減る商品は少数派でした。ハムについては歩留まりを100%以上確保して販売するものだったのです。少数派とはローストビーフ、ローストポーク、直火焼焼豚、くらいでしたでしょうか。いずれも囲うどの低い、惣菜寄りの商品で、世の中が徐々に簡単便利な惣菜を求め始めていた時期に重なり、販売数量を伸ばしたのです。話がそれましたが、歩留まりの減る商品は工程ごとの歩留まり管理をしっかり行わないと全く利益が出ません。


もっとも問題のあった工程は、カット、包装の工程でした。3枚170gでよいところ、190g派ってしまったらもう10%測りこんでいることになります。持ち出しです。170gでも190gでもいただける金額は同じだからです。人手でカットしていきます。しかも一つ一つ不ぞろいな大きなお肉です。カットの精度を上げることはできません。解決策としては重量単位でお金をいただく、不定貫というシステムしか在りませんでしたが、それでは販売チャンネルが限られてしまうことから、当初、見送られたのです。


開発から、廃盤までおよそ3年、ほどだったでしょうか。市場の求める商品がよくわかっていましたが、そのときの工場ではどうにもなりませんでした。


いま、改めてこの商品に向き合っているのはそのときのりそうを実現しようとしているから、でしょう。


また、続きを。


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